こういった疑問に答えます。
本記事の内容• デザイナーになるためには美大に行くべきか?
• 上位の美大とは?
• 上位の美大に入るためにはどうしたらいいのか?
• 美大に入れない場合はどうすればいいのか?
この記事を書いている私はグラフィックデザイナー歴約15年です。
現在はある会社でデザイナーとして、印刷物からWebまでやっています。
自身の美大受験の経験と、知り合いなどの話からまとめたこの記事が、これからデザイナーを目指す方へ少しでも参考になれば嬉しいです!
【これからデザイナーを目指す方へ】デザイナーになるためには美大に行くべきか?
まずは結論から。
大手の広告代理店や広告制作会社など、給料や雇用条件が良い会社にデザイナーとして就職したいなら美大を目指しましょう。
何故なら、大手の広告代理店や広告制作会社には、大学卒でないと応募すらできないことがあります。
ただ美大ならどこでもいいというわけではないです。上位の美大じゃないと足切りされる場合があります。
もちろん上位の美大出身でも、大手の広告代理店や広告制作会社の就職は狭き門、厳しい道のりです。
でも一般論として、上位の美大に入れば、少なくとも条件のいい会社に入るチャンスは与えられるってことです。
上位の美大とは?
ここで紹介する美大は、一般的な知名度と個人的な経験や意見に基づいて紹介しますので、あくまで参考程度と捉えてください。各大学、学部学科専攻によって違いがありますが省略します。芸術大学と美術大学を「美大」として一括にしています。
まず芸術・美術大学のトップと言えば、東京藝術大学(藝大)。
国内最高峰の国立大学です。
その次にくるのは、武蔵野美術大学(武蔵美)と多摩美術大学(多摩美)あたりではないでしょうか。
ちなみに武蔵美と多摩美のどちらが上か?
人によってさまざまな意見はあると思いますが、個人的には同格でいいんじゃないかなと思います。
大手の広告代理店や広告制作会社の就職率は、東京藝術大学、武蔵野美術大学、多摩美術大学の三大学が多いのは間違いないと思います。
藝大、武蔵美、多摩美の三大学に入れば、間違いなく大手の広告代理店や広告制作会社への就職チャンスは広がるでしょう。
次にくる美大は、私立だと東京造形大学、女子美術大学、日大藝術学部、国公立だと金沢美術工芸大学、愛知県立芸術大学、京都市立芸術大学あたりでしょうか。
ここまで紹介した美大に入れば、大手に就職できる可能性が広がります。
当たり前ですが、あくまでも可能性です。
ここで紹介した美大に入ったからって大手に就職できるわけではありません。
もちろんここで紹介していない美大でも、大手に就職するチャンスはあります。
結局は「個人の力」がものをいいますので、一般的な「大学の力」として参考にしてください。
上位の美大に入るためにはどうしたらいいのか?
ではどうしたら上位の美大に入ることができるのかをご紹介します。
東京藝術大学
まずは東京藝術大学。
学部学科によって多少差はありますが、とにかく入学するのは鬼難しいです。
入学するために何浪もする人もいます。しかも何浪もしたからといって入れません。
私が知ってる人で、5浪したけど入れなかった人がいます。
入学するためには、国立なのである程度のセンター試験の点数が必要ですが、そんなことより、デッサンスキルや色彩感覚、ものを正確に見る力や形にする力など、圧倒的な実技の力が必要です。
これから東京藝術大学を目指そうと考えている中高校生の方は、早いうちから絵の基礎となるデッサン力を鍛えましょう。
デッサン力はすべての基本です。
高校生の方は美術系の予備校に通うのは必須です。まず独学では東京藝術大学には合格できません。
毎年現役で合格する強者はいますが、めっちゃ狭き門です。
職人みたいな実技を持った浪人生との闘いにもなるので、さらに大変です。
東京藝術大学に入りたいなら、とにかく高1の早い時期から、美術系予備校に通いましょう。
もし近所に美術系の予備校がない方は、都心の美術系予備校を調べて、通信教育を活用したり、夏休みや冬休みを使って、予備校で開催する講習に参加することをオススメします。
武蔵美と多摩美
武蔵美と多摩美も学部学科によって多少差はありますが、入学するのはとても難しいです。
東京藝術大学を受験する人は、滑り止めで武蔵美と多摩美も受験する人が多いです。
なので自動的に実技試験のレベルが上がります。
もちろん浪人生もたくさん受験しますので、実技に関しては現役の高校生には厳しい闘いが待っています。
ただ武蔵美と多摩美は、学科の比重が東京藝術大学より高いので、学科の出来る現役生は比較的合格できる印象があります。
でも結局は実技がそれなりのレベルにないと合格できません。
武蔵美か多摩美を目指すなら、美術系予備校は必須です。
上位三校以外の大学の場合
藝大、武蔵美、多摩美以外の大学の場合も、基本的には美術系予備校に通うのは必須になります。
何故なら藝大、武蔵美、多摩美の上位三校を目指す人、特に武蔵美、多摩美を受験する人は、東京造形大や女子美なども滑り止めで受験する人が多く、やはり合格するには実技の力がないと合格は厳しいからです。
実技に関しては、武蔵美と多摩美に合格する力がある人は、合格する可能性は高いと思います。
国公立の金沢美術工芸大学、愛知県立芸術大学、京都市立芸術大学に関しては、センター試験の比重も高いので、しっかり学科も対策しなければ合格は難しいです。
美大に入れない場合はどうすればいいのか?
美大に入れない理由に、ただ単純に実力不足な場合と、私立の高い学費がネックで選択肢が限られてしまう場合があります。
まず一般的な美大の学費をみてみましよう。
国公立の年間学費が約50万、私立は約150万程度。私立の場合、4年間で600万円です。私立の美大の学費はとても高いです。
奨学金を借りて私立の美大に通う人もいますが、学費か高いがために私立の美大を諦めざるを得ない場合もあります。
例えば学費を抑えて美大に行きたい場合は、国公立を目指すことになりますが、藝大に絞った場合は茨の道です。合格がかなり厳しいので、相当な覚悟が必要です。
浪人をして美大を目指す
現役の時に美大に合格できない場合、浪人をして美大を目指す選択肢があります。
ちなみに私は浪人しました。
1年間しっかり予備校で学べば、どこかしらの美大には合格できます。
しかし、これが藝大一本だと壮絶です。
藝大に入りたいがために、何浪もしている人を何人も見ました。
よっぽど藝大に入ってやりたいことがあるとか、明確な将来設計があるなら別ですが、自分の歳になって思うのは、浪人の時間ほど無駄なものはないなと感じます。
まあ余計なお世話ですが…。
ちなみに武蔵美と多摩美も、浪人したからってそう簡単に入れません。
予備校内でも上位にいないと厳しいと思います。
個人的には浪人するのは1年間にしたほうがいいです。もし浪人することになったら、1年間で美大に入ることを目指しましょう。
専門学校に入学する
美大に合格できず、浪人もできない場合は、専門学校に入る選択肢もあります。
例えば、東京にある桑沢デザイン研究所は、美大を目指す人も滑り止めで受ける人もいます。
専門学校では珍しく、実技の試験があるので、専門学校の中ではレベルが高いです。有名なOBもたくさんいます。
しかも学校が渋谷にあるので、クリエイティブなことを学ぶにはいい環境ですよね。
実技に関しては、美大を目指している人なら、少し対策をすれば問題ないです。
ただ学費に関しては、私立の美大よりも抑えられますが、三年制でそれなりに高いので、結局金銭的な事情がある方は悩みどころです。
他の選択肢として、桑沢デザイン研究所以外のデザイン専門学校もありますが、美大を目指してきた人には専門学校に入学することは葛藤があるかもしれません。
ほとんどのデザイン専門学校は2年間学びます。
専門学校で2年間学び、早く就職して、現場で鍛えるのも手かもしれません。結局1番成長できるのは、デザイナーとして現場で働いてからですから。
ただ専門学校卒だと、新卒で美大卒と同じような広告制作会社に就職するのは、相当頑張らないと難しいかもしれません。
まとめ
大手の広告代理店や広告制作会社など、給料や雇用条件が良い会社にデザイナーとして就職したいなら美大に入りましょう。
美大に入ることで、確実に将来の選択肢やチャンスが広がります。
美大に入るのはスタート。その先が大事です。
当たり前ですが、美大に入ったら勝手にスキルや知識がつくわけでもなく、給料や雇用条件が良い会社に就職できるわけではありません。
入学したことに安心して、なんとなく過ごしていたらあっという間に4年間が終わってしまいます。学校生活を楽しみつつ、デザイナーを目指し、しっかり勉強をしましょう。
デザイナーとして働きだしたら、どこの美大出身だとか専門学校出身だとかは関係ありません。
しかし難関の入試を勝ち抜き美大に入れたことは、この先の人生でかなりのアドバンテージを獲得しています。かなりです。
美大に入るのはスタート。その先が大事です。この恵まれたスタートを活かすか殺すかは自分次第。
というわけで、今回は以上です。
ではまた!